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福岡高等裁判所 昭和38年(ラ)42号 決定 1963年4月08日

理由

一、抗告人の主張は別記のとおりである。

二、所論保証債務免除の事実は、認めるに足るなんらの証拠がないので論旨は理由がないばかりでなく、不動産強制競売事件において、その債務名義が公正証書である場合でも、執行証書の内容たる債務が免除によつて消滅したという事実は、民訴第五六〇条第五五九条第五六二条第三、四項の規定による第五四五条のいわゆる請求に関する異議の理由に当るので、主債務者(借主)の債権者(貸主)に対する金銭消費貸借上の債務を執行証書によつて保証した保証人が、執行証書によつて自己所有の不動産に対し強制競売を申立られ、競落許可決定の言渡しを受けた場合において、債権者から保証債務を免除された事実を主張し、もつて競落許可決定の取消を求めるには、前示法条に従い請求に関する異議の訴を提起するとともに、民訴第五四七条所定の申立てをなして強制執行停止決定を得、その決定正本を執行裁判所に提出して執行一時の停止を得、後日請求に関する訴訟において勝訴し、前示の公正証書に基く強制執行を許さない旨を宣言した執行力ある判決の正本を執行裁判所に提出して、不動産強制競売の取消を請求するのが常道である(民訴第五五〇条第一、二号第五五一条参照)。換言すれば、執行証書の内容である債務が免除により消滅したという事実自体は、民訴第六七二条第一号の強制執行を許すべからざること、又は執行を続行すべからざることのいずれにも当らないので、競落不動産の所有者であると主張する抗告人は、原競落許可決定に対し抗告適格はこれを有するにしても、所論の保証債務免除の事実をもつて原決定の取消を求めるに由なきことは、民訴第六八〇条第六七四条第六七二条の各規定の解釈上甚だ明白であるから、所論は主張事実自体理由がない。

その他原決定はこれを取消すべき違法は存しない。

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